Interview

岡本隆志(染色家、国画会工芸部)

染色家の岡本隆志さんは、美しい型染めの作品で知られる作家です。図案、型彫り、糊付け、彩色、地染めまでを担い、手間のかかる高度な技法に挑んでいます。
岡本さんは静岡の学校を卒業後、染色家で人間国宝の芹沢銈介さんに弟子入りしました。「工芸は『人』である」という、岡本さんの想いを聞きました。

okamoto_01工芸の魅力とは、どのようなものだと思われますか。

芹沢先生もよくおっしゃっていましたが、シンプルにお伝えすると、「誠実」で「健康」な仕事、ということに尽きるのではないでしょうか。

いまの工芸の課題について、どのようにお考えでしょうか。

私は、工芸は「人」であると思っています。いまの工芸の問題点は、その「人」がいないということです。時代を担う人、というところまでいかなくても、工芸を担う「人」たち自体が少ない。選択する人が減っている。これが一番の問題だと思います。

21世紀鷹峯フォーラムに期待することは、どのようなことですか。

100年後にも、手でつくる工芸が存在していれば、嬉しいですね。その価値観を分かってくれる人が増えてゆくことが、私の望みです。逆にいえば、工芸が生き残っていれば、人間はまだまだ大丈夫なのではないか。希望のバロメーターでもあると思います。

2016年10月22日、21世紀鷹峯フォーラム in 東京「日本工芸Opening Conversation」にて。

2016年11月8日(火)~ 15日(火)、東京都美術館 ギャラリーA・Bにて、90回記念国展受賞作家展(版画部、彫刻部、工芸部、写真部)―未来への歩み2016―の展覧会が行われます。
90回記念国展受賞作家展 (版画部、彫刻部、工芸部、写真部)―未来への歩み 2016―

文:永峰美佳
写真:蔵プロダクション http://zohpro.com/