「清雅」という言葉で皆さまは何を連想されるでしょう。この言葉で「加賀蒔絵」を言い表したのは、石川県立美術館 嶋崎丞館長です。嶋崎館長のみならず、「加賀蒔絵」そして「五十嵐道甫」という加賀藩前田家がもたらした言葉に、金沢の人はひとかたならぬ憧憬と意味を持ち続けてきました。加賀蒔絵という工芸の名。その礎としての工人の名。その両方を、さも我が身のように語る人々が金沢には時代を超えて沢山おられます。それふたつの言葉は、蒔絵・塗り・器物の技法・表現は言うに及ばず、その精神までをも含む言葉として、師から弟子へ、使い手から使い手へと当地に息づきつつ発し続けられて、独自性と多様性ある数々の名品と名工を生み出しました。50年前、その「加賀蒔絵」を後世に繋ぐため作家有志が設立したのが金沢漆芸会です。