石川県輪島漆芸美術館 1

石川・金沢 トークリレーバトン

9/27wed.
「没後50年記念 竹園自耕―蒔絵と図案―」

漆の色といえば、一般的に朱や黒を連想しがちですが、昭和初期の帝展では漆芸の新たな創造の世界を獲得するべく、作家たちがこぞって色鮮やかな漆を用いました。企画展「没後50年記念 竹園自耕―蒔絵と図案―」では、この彩漆(いろうるし)を駆使した輪島の漆芸作家・竹園自耕(たけその じこう)をご紹介しています。竹園は明治末期に蒔絵師として独立し、膳椀の加飾などを請負いましたが、昭和4年に帝展へ初入選を果たし、作家としての才能を開花させます。また、蒔絵師ならではの高上げ技法(金属粉などを使ったごく繊細なレリーフ状の盛り上げ)を組合せ、《花鳥文飾筥》で特選となりました。精細巧緻と評された本作品は必見です。展覧会出品作から漆椀などの実用品まで、竹園が好んで用いた独特の「グレー」の彩漆も、展示室で探してみてください。
今月3日から始まった「奥能登国際芸術祭珠洲2017」には、多くの方々が足を運んでいらっしゃるとのことです。珠洲市のお隣に位置する輪島市では、歴史ある工芸産業・輪島塗を中心に、漆文化を堪能できる施設やイベントが充実しています。ぜひ併せてお立ち寄りいただきたいと思います。(後編につづく)

石川県輪島漆芸美術館(前編)

学芸課

寺尾 藍子