Interview

「オーガニックコットン」

特定非営利活動法人 日本オーガニックコットン協会

今回の展示を通じて、みなさんにどのようなことを知っていただきたいですか。

今回、「オーガニックコットンって何ですか?」と質問されることが多いです。オーガニックコットン自体がよくわからない方が多いですので、オーガニックコットンについてご説明をしています。この会場にも国内で栽培している産地の方々がいらっしゃるので、そういう方達も応援をしていることを強調してお話ししています。

オーガニックコットンとは何でしょうか?

有機栽培の綿花ということが普通の綿花とは一番違うことですね。農作物の有機栽培の一種で、地球環境になるべく負担のかからない栽培方法と製品化の工程をとっているものです。製品化したときもオーガニックコットンとして風合いのような、地球にも優しくて体にも優しいようにつくられているものですね。

栽培のときと製品化のときもふくめて工程的に、環境負荷を完全にかけないとはいいきれないですけれども、できるだけかけないようにして、オーガニックを選ぶ消費者が増えていけば、土壌がよくなり還元していきます。

日本オーガニックコットン協会はどうして設立されたのですか?

約20年前、オーガニックという言葉もまだ知られていない頃に、地球環境を考え始めた主にテキスタイルを扱う会社や関係者が集まりました。テキスタイルはそれまで環境のことをほとんど考えてこなかったと思うのです。コットン栽培のときに農薬がすごく使われていて、数値的には地球環境を汚しているということがちらほら聞こえてきたときに、オーガニックコットンの製品化をしていって、なるたけ環境に優しいことをしたいと考えたテキスタイル関連者や企業があったのです。オーガニックコットン自体がわからないし、どんな風にやっていこうかというときに賛同する企業などが集まって、なんとか普及をしながらやれないかねということが発端でできた協会なのですね。

JOCAと書いてあるタグは何ですか?

5年前まではオーガニックコットンの協会認証タグとして、現在は世界基準の推進により第3者認証付(JOCAタグ)と自主管理(ファミリータグ)の2種のタグとして会員企業に利用されています。

タグをひとつのツールとして、お客様がタグを見て「何ですか」と疑問を持たれたときにオーガニックコットンを説明すれば広まっていくかなということが発端でできました。オーガニックコットンの目印になり、協会の運営費用にもなります。ここの団体だけではないのですけれども、いろいろなマークができ、動いてきたような業界なのですね。

オーガニックコットンは原綿も割高で、製品化するのにゆっくりつくるぶんコストもかかり大変です。でも自分たちのポリシーとしては扱っていきたいよねということで頑張ってやってきている人たちが参加してくださってNPO法人として長く存続しています。

この活動をはばむものは何ですか?

この協会の運営でいえば、会員さんが増えて潤沢な資金があれば、展示会への出展やスタッフ増員など、消費者の方々に対していろいろな説明ができる機会ができると思いますが、業界的にたくさん売れていないと会員も増えません。時期や企業のそれぞれの事情で取り扱いを一時中止するところもあり、ずっとブームでやっていくわけにはいかないですね。市場の影響が顕著にでるようで、息切れする企業さんもあるし、その辺の動きと合わせてやるしかない、アイデアはあっても活動に制限があるという苦労はありますね。

消費者さんは10年くらい前から、オーガニックって食べものの方から気になさってくる方が多いと思うのですけれども、だんだんとオーガニックコットンというのもあるのだと知られてきています。なるたけ人間が触ったらとにかくソフトなあまり刺激しない、使い心地が良いものを求めているお客様は徐々に増えています。特にベビー用品で、子どもに着せたい、プレゼントしたい、という需要は増えていると思います。会員数の増加はともあれ、オーガニックコットンを扱う小売業も増えているし、消費者のニーズに合わせ製品の種類はこれからも増えてくると思いますね。

今後どのような展開をお考えですか?

この2〜3年、国内の栽培者さんたちの意識がかなり高くなっているのを感じています。先ほどのタグが付いた商品をお買い求めいただくと、少しの金額ですが、国内の栽培者さんたちへの支援につながります。年に1回、全国コットンサミットの場で支援金を使っていただくようなことをしたりしています。

栽培率も低いので国内栽培の綿花での製品化はまだまだ少ない状況です。協会Facebookページを栽培地情報交換の場にしてもらい周知に努めています。国内栽培が広まるような支援ができるといいなと思いますね。

2016年12月13日、絶滅危惧の素材と道具「NEXT100年」にて。

文:いしまるあきこ
写真:大隅圭介