Interview

「草津あおばな会」

湯浅圭太(草津市農林水産課)

今回の展示を通じて、みなさんにどのようなことを知っていただきたいですか。

着物の下絵描きに使われている青花紙(あおばながみ)を知っていただくために、本物の青花紙を使って、実際に使っておられるやり方を体験していただきながら、青花紙のご紹介をさせていただいています。

青花紙はどのように使うものですか?

適当な大きさに切った青花紙に水を垂らして溶いていくと青色がでてきます。今回の体験では、うちわに色を塗っていただいてお持ち帰りいただいています。

実際は、京都の友禅や加賀友禅、京鹿の子絞りなどの職人さんが下絵を描くときに使います。水で洗うと消えるのが青花の特徴です。下絵を描いて、本描きをして、さっと水にくぐらせて、下絵だけを消すという使われ方ですね。友禅ですと筆を使ったものになりますが、京鹿の子絞りですと、ぽんぽんのようなもので塗り込んで、非常にたくさんの量を使われます。職人さんによって使われる量が違います。

従来の使い方以外の青花の使い途を教えてください。

下絵のための青花紙には、花びらの部分を使いますが、花の茎や葉の部分を粉末状にしてクッキーやおまんじゅうに混ぜたり、茎のエキスをお茶とか焼酎に混ぜ込みながら、口に入る商品が多数出ています。葉や茎に血糖値の上昇をゆるやかにする新しい成分があることが、大学の先生の研究でわかりましたので、それを付加価値に、それぞれ事業者さんの得意分野で商品をつくっていただいています。

青花で染めている布もあります。これは水で洗っても消えないように特殊な加工をしているので、イベントなどで体験していただいて、ストールとかハンカチをつくったりしていただいています。

青花はどのような危機を迎えているのですか?

友禅染めなどの下絵描きで使われる色ですけれども、代用青花といった化学染料を用いる筆タイプ、ペンタイプの代用品がでてきまして、青花紙自体の需要が減ってきています。代用青花を使われて青花紙は使わない方もいますし、逆に「青花紙でないとあかん」という方もいます。着物を着る機会が減ってきていますので需要が減ってきています。

高齢化で後継者がいないのが一番の問題かと思います。草津市でも3人の方が青花紙をつくっておられますが、実際には、体調を崩されて今年はふたりだけとか、ひとりで何十束(そく)もつくるわけではないので、5束とか、1束、2束とか、なかなか量がつくれないです。いまは何とかニーズに応えていますけれども、だんだんとつくるパワーが落ちてきてつくれなくなってしまいます。夏の一番暑い時期につくられるものなので、「今年が最後や」といいながらつくっておられる生産者さんもいらっしゃいますね。

染める方も高齢ですけれども、青花紙は和紙でできていまして、その和紙自体もつくる職人さんがいないなどで絶滅の危機を迎えているのではないでしょうか。

今後どのような展開をお考えですか

こういった紹介の場を通じて、知ってもらうことが大事だと思います。青花は草津市の花でもありますので、安定的な生産をしてもらうためには、商品を活性化していくなかで、昔から歴史ある青花紙の伝統を伝えていくことで、「我こそは青花紙を」という人がでてきたらええなという想いで、イベントなどで積極的に紹介させていただいています。なかなかイベントだけで着物や青花紙の需要が伸びるというわけではないですけれども、すべての活動を通じて、まずは、青花自体を絶やすことなく、青花紙も一緒に広がっていくといいなと思いますね。青花紙だけにスポットを当ててもなかなか難しいですしね。

まずは、青花づくりをしてくれるところですね。いま、地元の農業高校とかでも青花の栽培がされていますので、そのなかでなんとか受け継いでいっていただけたらなというのが、生産者さんの想いでもありますから、そういった働きかけができたらと思っています。

2016年12月13日、絶滅危惧の素材と道具「NEXT100年」にて。

文:いしまるあきこ
写真:大隅圭介

絶滅危惧の素材と道具 NEXT100年 プレゼンテーション#14 湯浅圭太