Interview

100年後へ:京都からのメッセージ

2015年に京都で開催された「21世紀鷹峯フォーラム」第一回京都。大きく関わっていただいた、京都市美術館 館長の潮江宏三さん、京都造形芸術大学 副学長の大野木啓人さん、京都国立博物館 館長の佐々木丞平さん、京都工芸繊維大学大学院 教授の澤田美恵子さんの4名から、第二回東京の開催に向けてメッセージをいただきました。

shioe潮江宏三(京都市美術館 館長)

「100年後に残る工芸」という課題において、最も大事なことは“教育”ではないでしょうか。今の時代は、素材に触れ合う教育というものが非常に欠けています。木、竹、紙、布、土など、さまざまな素材に触れて形を作る、そういう教育をしっかりと復活させることが大事だと思います。それによって、出来上がった工芸品を楽しむということができたり、作ることに関心を持つ子ども達が増えたりするはずです。この鷹峯フォーラムでも呼びかけて、さまざまな場で素材に触れる教育を復活させていただきたいと願っております。

onogi大野木啓人(京都造形芸術大学 副学長)

「100年後に残る工芸」を目指す気持ちは、みなさん一緒だと思います。ただ、そのための行動をどう起こしていくか、というところはまさにこれからの正念場といえるでしょう。鷹峯フォーラムは、これからも続いて行きますから、皆さんと共に考えながら“100年後につなげなあかん”という強い気持ちをぜひ具体的な行動に結びつけていきましょう。本気でないと意味がありません。

sasaki佐々木丞平(京都国立博物館 館長)

第一回京都では、「京都ブランド」として世界を魅了できる日本工芸の粋ということで、「携帯用ミントケース(=現代の印籠・振出・薬入れ)」を公募しました。これは公募企画“つくるフォーラム”のプロジェクトの中で行われました。博物館としても、ミュージアムグッズについて、一般的な廉価な物というよりも、きちんと洗練されたもの、しかも素材や技術に伝統を踏まえた良い物を扱いたいと常々考えています。ミントケースというのは、手軽で誰でも持ちやすくて、洋装和装どちらにも使えるものですから、伝統的な技術や素材を使った良い物が出来れば、反響も大きいだろうと思いました。そういう意味でも、公募というのは、我々にも意義のある良い企画でした。

sawada澤田美恵子(京都工芸繊維大学大学院 教授)

工芸というのは、たくさんのコミュニケーションが必要です。例えば人と人、そして人とモノのコミュニケーションがとても大切であり、また場所性、その場所でなぜそのものが作られるのかということも大切です。これから東京には、世界中の人々が益々集まると思いますが、もっと工芸を中心とした輪が広がって、工芸の魅力に接した皆さんによって、互いの顔がわかるような温かいコミュニケーションが紡がれることを願っております。第二回東京のキャッチフレーズのように、工芸を通して素晴らしい100日間となりますよう、お祈りしております。

2016年10月22日、21世紀鷹峯フォーラム in 東京「日本工芸Opening Conversation」にて。

インタビュアー:小澤泰子
写真:大隅圭介