Interview

馬場章(女子美術大学美術館 館長)

女子美術大学は、2016年の21世紀鷹峯フォーラムの開催において、全面的なサポートを行うために東京実行委員会で中核的な役割を担っています。
同時に「創る、伝える、繋がる」女子美術大学デザイン・工芸学科 工芸専攻教員作品展はじめ、多くの展覧会やイベントを開催。「つくり手」と「つかい手」を積極的につなぐ場を提供しています。
女子美術大学美術館の館長であり、第2回の東京実行委員会の会長を務める馬場章さんに、工芸をめぐる課題について、お話を伺いました。

baba_03いまの工芸の課題について、どのようにお考えでしょうか。

古いものを継承して続けていくことは、工芸に携わる人にとって大事な役目だと思います。しかし、それだけではなく、新しい感覚で、変更を加えながら、現代に生き残ることができる工芸をつくり上げていくことがより大切かもしれません。

工芸を教える教育機関として抱える問題はありますか。

卒業してからも、生き生きとものづくりを続けていってほしい。それには、何かモチベーションがなければ、続けていけない。技術はしっかり修得しつつ、過去に習いながら、新しいものをどんどん生み出していける、そういう継続性とタフさをもってほしいですね。

どのように社会との接点を築いていけばいいのでしょうか。

現実的な話をすると、買ってもらえることも大切です。

女子美術大学の工芸は、「デザイン・工芸学科」なんです。デザインと組むことにより、工芸に新しい感覚が注がれる。新しい工芸には、デザインの力が求められていると感じます。自分の感覚にまかせてただつくればいいわけではなく、新しい「つかい手」を想定し、いまの人が使いたくなるようなものにつくり変えることが、非常に重要だと思います。それは、現代の「用の美」といえるかもしれません。

逆に工芸の強みを感じるときはありますか。

学生を見ていると、ファインアート系の思考をもつ学生がたくさんいます。ファインアートは、技術より発想が先立ってしまう。けれども工芸の場合は、最初にじっくり技術を修練しますので、同じ発想といっても技術があるぶん、作品のクオリティに大きな差が出てきます。それが工芸の強みかな、と思いますね。

2016年10月22日、21世紀鷹峯フォーラム in 東京「日本工芸Opening Conversation」にて。

2016年11月10日(木)~13日(日)、虎ノ門ヒルズ アトリウムにて、A hundred threadsの展覧会が開かれます。
A hundred threads

2016年11月19日(土)、女子美術大学(杉並キャンパス)にて、伝統工芸 こどもワークショップが開かれます。
伝統工芸 こどもワークショップ

2016年12月7日(水)~12月21日(水)、女子美術大学アートミュージアム(相模原キャンパス)にて、創る、伝える、繫がる 女子美術大学デザイン・工芸学科工芸専攻教員作品展が開かれます。
創る、伝える、繫がる 女子美術大学デザイン・工芸学科工芸専攻教員作品展

2017年1月13日(金)~15日(日)、渋谷ヒカリエ 8/COURTにて、えどがわ伝統工芸 ┼ 女子美術大学―伝統工芸者と女子美生のコラボレーション作品展―が開かれます。
えどがわ伝統工芸 × 女子美術大学 ―伝統工芸者と女子美生のコラボレーション作品展―

2017年1月20日(金)~22日(日)(テキスタイルコース)、1月24日(火)~26日(木)(陶・ガラスコース)、スパイラルガーデンにて、「想像┼創造」─116年の伝統と躍動する工芸女子─女子美術大学デザイン・工芸学科工芸専攻卒業・修了制作展が開かれます。
「想像×創造」—116年の伝統と躍動する工芸女子—女子美術大学デザイン・工芸学科工芸専攻卒業・修了制作展

文:永峰美佳
写真:蔵プロダクション http://zohpro.com/