Interview

唐澤昌宏(独立行政法人国立美術館東京国立近代美術館 工芸課長)

東京国立近代美術館工芸館では、21世紀鷹峯フォーラムの会期中、「革新の工芸 ―“伝統と前衛”、そして現代―」、「所蔵作品展 近代工芸と茶の湯Ⅱ」の展覧会が開かれます。また、都内5箇所にて「工芸館がやってきた! 出張タッチ&トーク」のイベントを開催するなど、工芸品を紹介する場を積極的に提供しています。
東京国立近代美術館 工芸課長である唐澤昌宏さんに、工芸をめぐる課題について、お話を伺いました。

karasawa_03工芸の魅力とは、どのようなものだと思われますか。

工芸の魅力を考えると、陶芸、染織、漆芸、金工、いろいろなジャンルがありますが、つかう形、あるいはつかう形を借りた造形が存在しています。つかいたいと思えばつかえるし、見て楽しもうと思えば楽しめる。工芸は、つくる側以上に、つかう側が、自由な気持ちをもって多角的に接することができる造形なのではないかと思います。

いまの工芸の課題について、どのようにお考えでしょうか。

先日、第3回金沢・世界工芸トリエンンーレ 2017金沢・世界工芸コンペティションの審査会がありました。その応募作品を見たときに、現代の若い世代の人たちが、工芸を自由に捉えて作品をつくっている姿に驚きました。「工芸は、こういうものでないといけない」という枠組みを一度外して、つくりたいものをつくってみる。「私、こんなことをやりたいんです」という気持ちを、一度素直に作品にぶつけてみることも大切なのではないか、そんなふうに感じました。

21世紀鷹峯フォーラムに期待することは、どのようなことですか。

これまで、工芸に対する動きや発信は、それぞれバラバラで行われていました。それを、ひとつのまとまりをもって発信していこうとしています。その姿勢に大きな期待を感じています。

2016年10月22日、21世紀鷹峯フォーラム in 東京「日本工芸Opening Conversation」にて。

2016年9月17日(土)〜12月4日(日)、東京国立近代美術館工芸館にて、革新の工芸 ―“伝統と前衛”、そして現代―の展覧会が開かれます。
革新の工芸 ―“伝統と前衛”、そして現代―

2016年10月11日(火)、25日(火)、11月15日(火)、12月6日(火)、20日(火)、藝術学舎(京都造形芸術大学・東北芸術工科大学)にて、伝統工芸の現在(いま)―新時代の工芸家たちの講座が開かれます。

2016年11月中、2017年1月中、都内5箇所にて、工芸館がやってきた! 出張タッチ&トークのイベントが開かれます。

2016年12月17日(土)〜2017年2月19日(日)、東京国立近代美術館工芸館にて、所蔵作品展 近代工芸と茶の湯Ⅱの展覧会が開かれます。
所蔵作品展 近代工芸と茶の湯Ⅱ(仮称)

2017年1月15日(日)、2月5日(日)、東京国立近代美術館工芸館にて、工芸制作ワークショップ(協力:日本工芸会、100年後の工芸のために普及啓発実行委員会)が開かれます。

文:永峰美佳
写真:蔵プロダクション http://zohpro.com/