Interview

大樋年雄(陶芸家・美術家 十一代大樋長左衛門)

2015年の京都、2016年の東京に引き続き、2017年には「21世紀鷹峯フォーラム in 金沢」が開催されます。金沢の実行委員会に名を連ねるメンバーのひとり、陶芸家・美術家の大樋先生にお話しを伺いました。

ohi_022017年に行われる、「21世紀鷹峯フォーラム in 金沢」では何が起きるのでしょうか。

京都でもない、東京でもないことを試みる必要があると考えます。一番大事なことは、金沢のPRではなく、世界やアジアの工芸、日本の工芸のことを考える拠点になる場が金沢だという目線が大事だと思っています。

もっと広い地域で、中国、韓国、タイ、ベトナム、台湾などアジアの工芸を考えてみる必要があると思います。今、日本はそういう視点が問われていると思うのです。自分の地域を自慢しながら発信するのではなく、それぞれの工芸の何が違って、何が共通しているのかをリサーチしていくような拠点が必要だと思うのです。

「21世紀鷹峯フォーラム in 金沢」で、こういうことをしてみたいと考えていることがあれば教えて頂けますか?

世界は工芸を通じて絆を強く持てると思っています。そして、アジアの人は手でつくることに関して、それぞれ大事に考えています。精神性と手作りが一緒になっている。その文化を重んじながら視野を広げてみたらどうかと思っています。

また、日本の様々な工芸を共有しながら互いの相違を認め合いながら世界にどのように発信したら良いのか? もっと細かく、地域に根差していけることはどういうことなのか? 現代アートとリンクしている工芸の視点はどのようなものなのか? このような事柄を話し合ってみてもよいかもしれません。

いま、意味を持つ新しい試みは、100年経てば教科書的な工芸になっているはずなのです。僕らが立っているこの時間から、過去を見てみることと、ずっと先を考えてみることは同じことです。

もちろん、来年のイベントでこのようなことを明確にすることは不可能かもしれません。しかし、そんな予感は発信できるような気はしています。

2016年10月22日、21世紀鷹峯フォーラム in 東京「日本工芸Opening Conversation」にて。

「21世紀鷹峯フォーラム in 金沢」は、2017年11月17日(金)〜26日(日)に開催予定です。

文 :いしまるあきこ http://ishimaruakiko.com
写真:蔵プロダクション http://zohpro.com/