京都提言
発表
100年後に残る工芸のために
普及啓発実行委員会
会長
京都国立近代美術館館長
柳原正樹
日本の工芸は世界に誇り得るものです。
この21世紀鷹峯フォーラムを機に、ここに参加した私たちは、
工芸の魅力を支えるすべてのものが、危うい状態になっている現状を危惧し、打破していく行動を起こしてまいります。
ここに100年後に残る工芸のために、3つの提言をいたします。
一つ
100年後にもよき工芸品を生み出すためには、
よい使い手と鑑賞者の存在が必要です。
この志に賛同いただける美術館・博物館、大学などの教育機関、
研究機関とともに、
特に若い人たちが、よい使い手として、工芸の魅力に気づき、
よい鑑賞者となってもらえるように、工芸にまつわる感性、物語、
日々どう使っていくのかを多くの人に伝えていける、
「見分ける」体験・教育の機会を、全連携機関と増やすよう、
心掛けてまいります。
一つ
京都は、これからも工芸の都として、つくり手が求める材料と道具、技術
および技能、それらの情報が最も集まる拠点として、このフォーラムを機に
各産地との連携をはかっていきます。
100年後にも新たなつくり手が多く生まれるために、大切な材料と道具とわ
ざ、その情報の確保に努めていきます。
一つ
私たちは、100年後に残る、工芸のために今後も、
連携・協力して活動を続けて行きます。
この活動を盛り上げていくためには、多くの方々の理解と協力と、
国の関係各省庁、地方公共団体、そして企業の支えが必要であり、
さまざまな支援を求めて声をあげていきます。
次回のこの会合を、来年度に東京で開催する計画に賛意を表するとともに、
日本はもちろん世界各国の方々にとっての大消費地である東京で、
工芸の魅力を発信する機会となるよう協力していきます。