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展覧会・イベント、見てある記 #19

第3回 工芸とアートの金沢オークション

11月3日(金・祝) @ しいのき迎賓館 2階イベントホール 

作家によるプレゼンテーションは、作品だけでなくこれまでの活動実績や作家自身のパーソナリティまでものアピールの場となる。
番号が書かれたパドルを掲げる参加者、作品価格が上がり入札者が徐々に絞られて最後の1名になるとオークショニアがハンマーを打って落札者を決定する。
みるみる値段が上がっていくこともあるのがオークションの醍醐味

その日、イベントホールは、熱気に包まれていました。「第3回工芸とアートの金沢オークション」の会場として、計32の作品とともにその出品作家、オークション参加者らが一堂に会していたのです。

「若手現代作家の経済的な自立を目指して」、2015年から始まったこのオークションは、会場を金沢21世紀美術館シアター21(第1回)、つば甚(第2回)と移しながら、毎回金沢らしいロケーションを選んで開催されてきました。ガラス窓を通して、美しい紅葉の景色を望むホールには、落札を告げるハンマーの音が小気味よく響きます。

アートにおけるオークションの日本での定着は、未だこれからということですが、この試みでは「若手芸術家のためのオークション」という主旨から、運営費用をスポンサーからの協賛金で賄い、作家には売上金の全額が支払われることになっています。それが、落札する側にとっても「単に作品を手に入れるための価格」ではなく「作家の未来への投資」としてパドルを快く揚げる動機づけになっていたのかもしれません。どの作品にも活発に手が上がっていたのが印象的でした。
作品の評価が目の前で見られる貴重な機会。初回から毎回参加していた作家もいました。若手の工芸作家やアーティストにとって、実りのある体験となっていました。来年度も楽しみです。

展覧会、および資料館の情報は
→ 21世紀鷹峯フォーラム 情報ページ

取材日2017年11月3日