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展覧会・イベント、見てある記 #13

加賀友禅まつり2017

2017年10月7日(土)〜11月5日(日)@加賀友禅会館 @ 加賀友禅会館 

今年で第43回となる新作競技会。着物そのものとしての美しさはもちろん、手描彩色や糊置といった技術も表彰の対象となる。
紙に描いた図案を白生地に写していく「下絵」。使っている染料はツユクサの一種の「青花」で、水を通すと消えてしまう。
もち米を蒸してつくった糊で下絵をなぞっていく「糊置」。下絵同様細かい作業が続くのはもちろんだが、長い線を一定の太さで滑らかに引いたりするのも熟練の技術が要る。
糊置した下絵の輪郭の内側に色を挿していく「彩色」。近頃は伝統的に使われてきた筆なども新しいものが手に入りづらく、道具を工夫して使うこともある。

金沢のまちを歩いていると、和装の人を見かけることが少なくありません。最近では、観光客向けの着物レンタルのサービスもさらに増え、休日ともなればカラフルな着物に身を包んだ女性同士のグループなどがそぞろ歩きをしているところによく出会います。

そんな「着物」に親しみのある金沢でさえ、本物の加賀友禅に触れたり、ましてや袖を通したりすることは気軽なことではありません。しかし、毎年秋口に開催される「加賀友禅まつり」では、兼六園にほど近い加賀友禅会館を中心に、市内14店舗の呉服店とともに、「加賀友禅ファン」を増やす取り組みが数多く行われています。

文化の日からの3連休を含む日程では、加賀友禅会館においては、作家による「加賀友禅新作競技会作品展」や、事前予約制の「着装会」が行われました。また、加賀友禅の技術を広く知ってもらう取り組みとして、作家や伝統工芸士が実際に作品を作っている様子を見ることができる制作実演も行われました。

特に、今回実演された「下絵」や「糊置き」といった工程は、普段はほとんど目にすることができないもの。独特の道具や作業の進め方について見学者から質問が飛ぶと、ていねいに返してくれる職人のみなさんの姿が印象的でした。

展覧会、および資料館の情報は
→ 21世紀鷹峯フォーラム 情報ページ

取材日2017年11月5日