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展覧会・イベント、見てある記 #12

工芸セレクションI 「お茶碗と棗」

2017年7月29日(土)〜10月22日(日) @ 金沢市立中村記念美術館 

展示風景
向付のような食器を茶碗に見立てた黄瀬戸筒茶碗、桃山時代(16世紀)
五代 大樋長左衛門による飴釉(あめゆう)茶碗「侘の友」
菊蒔絵棗 江戸時代(17世紀)市中の小工房で製作されたと思われる。
左:呉須橘文茶碗 明時代(17世紀)右:梅果蒔絵棗 十代 中村宗哲作 明治~大正時代(19~20世紀)

[茶道は、敷居が高い」という方こそ、見てほしい展覧会です。お茶をいただく器である“茶碗”が、展覧会タイトル同様、シンプルに産地別に陳列されています。なかには、名品と呼ばれるものもありますが、そういうことにはとらわれずに鑑賞してほしいというのが、展覧会の趣旨です。

まずは、先入観念を捨て去り、自分の眼で観る。そこには、使い手と器物との本来の関係があります。原点といってもよいでしょう。自分の心にひっかかるお茶碗を見つける。それが、自分にとっていいものなのです。

本美術館は、中村酒造株式会社の社長であった中村栄俊(えいしゅん)氏(
1908~1978)が、「美術品は、一個人のものではなく国民の宝である」という信念のもと、茶道具を中心に収集してきた美術工芸品が基となり、さらに近現代の金沢の作品の収集を続け、1,000点を超える所蔵品を有しています。

本展では、お茶碗は、中国や朝鮮半島を産地とするものから、地元の作家である大樋長左衛門、開発文七、西坂方南の作品など。薄茶をおさめる「茶器」の種類のひとつである華麗な装飾の棗(なつめ)を軸に、棗以外の筒状や卵形といった異なる形状の茶器や茶入も合わせて展示されています。

展覧会、および資料館の情報は
→ 21世紀鷹峯フォーラム 情報ページ

取材日2017年10月5日