前田育徳会尊經閣文庫分館 百工比照I
2017年10月6日(金)〜 11月7日(火) @ 石川県立美術館
「百工」とは、諸種の工芸、あるいは、工匠という意味。「比照」は、比較対照するという意味。『百工比照』は、加賀藩五代藩主・前田綱紀が、編集した工芸の百科事典です。石川県で工芸が盛んになるもとになりました。
内容は、工芸の各分野にわたり、紙類から木之類、色漆類、革類、織物類、竹類、羽織類絵図、など、11の箱と付属する2つの箱に分類整理されて納められています。総点数は、2,000点以上にのぼり、特産品や実用品などの他、絵図やひな形なども含み貴重な資料となっています。
今回は、2期にわけて、第一号箱から第三号箱のほぼ全体と、第五、第六号箱の主要部が紹介されています。
使用されていた、紙や糸、木材、革など、素材ごとに美しい標本となっており、当時の美意識が伝わってきます。「羽織類絵図」は、まさに今日でいうデザイン見本帳であり、特にその柄が斬新でモダンなことに驚かされます。また、精緻な「七宝鳥籠釘隠」には、職工の優れた技術がうかがわれ、思わずため息がでるほど。必見の展覧会です。
本展は、「平成の百工比照と工芸作品の精華」展@金沢美術工芸大学とともに、本祭典のテーマの一つである「伝統と現代」の中核となる展覧会です。なお、2期目は、11月11日(土)から12月17日(日)まで。
展覧会、および資料館の情報は
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取材日2017年10月30日