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展覧会・イベント、見てある記 #07

第25回 漆光会展

10月25日(水)〜31日(火) @ 大和香林坊店6Fギャラリー KOHRIN

今年で第25回を数える「漆光会」展

小森邦衛氏による竹で編まれた素地の模様が美しい「網代八角銘々盆」(上)、「籃胎朱香合」(下)
普段の暮らしにも使いたいぐい呑みや夫婦椀から、技術を凝らした蒔絵箱にアクセサリーまで、幅広い作品が展示された。

石川県立輪島漆芸技術研修所で研鑽を積んだ、有志14名の作家からなる漆光会。蒔絵師で人間国宝の松田権六氏のご指導のもと、1979年に発足した同会による第25回の作品展が、金沢の中心地・香林坊で開催されました。

会場中央に座した「網代八角銘々盆」は、人間国宝に認定された小森邦衛氏によるもの。竹を編んだ繊細な模様が漆に透け、美しい表情を見せています。このように加飾を施さず、素地の上に漆のみを塗り重ねていく技法を髹漆(きゅうしつ)といいますが、本作品では、素地の凹凸が活かされることにより、漆塗りの高い技術がいっそう際立ちます。

この他にも同展では、沈金や蒔絵など伝統的な技法を駆使した額装や香合、ぐい呑みや夫婦椀のほかアクセサリーなど、現代の暮らしにも気軽に取り入れられる作品が集められました。そして、作家それぞれの視点から、高度な加飾技術と素材やデザインとの組み合わせに創意が凝らされています。

漆光会は今年で結成38年。この間変わらず第一線で作品を発表し続ける作家はもとより、今年研修所を巣立ったばかりという若い作家も名を連ねています。さらに、輪島だけでなく奈良や大阪を制作拠点にする作家も擁し、輪島塗の技術の伝承とその次代への継承に、ますますの期待がかかります。

展覧会、および資料館の情報は
→ 21世紀鷹峯フォーラム 情報ページ

取材日2017年10月30日