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展覧会・イベント、見てある記 #21

企画展「山川孝次三代の技」

2017年10月4日(水)~11月27日(月) @ 公益財団法人 宗桂会/宗桂会館

エントランスには故・音桂二郎氏の胸像や、新たに収蔵された作品などが展示されています。
彫金・象嵌の緻密さが際立つ作品が並ぶ。
前列左から4人目が子供時代の音桂二郎氏で、後列最右が祖父の二代・山川孝次。
「金象嵌牡丹菊文銀瓶」(初代・山川孝次)
「金銀象嵌諫鼓形置物」(二代・山川孝次)
「象嵌香炉」(山川孝次 ※おそらく三代か)

「(公財)宗桂会」を設立した「日機装株式会社」の創業者・音桂二郎氏は、母方に加賀象嵌の名門・山川孝次家の系譜をもち、戦後いち早くハイテク産業を興した技術者として、自らのモノづくりの原点と矜持を加賀象嵌の技に見出していました。しかし、加賀象嵌の技が継承の危機にあることを知り、「日機装㈱金沢製作所」の開所に際し、この伝統金工技法を次世代へ伝える活動のための財団をこの地に発足させました。

金沢製作所の敷地内にある「宗桂会館」に入ると、吹き抜けのエントランスで音桂二郎氏の胸像と、最近収蔵されたばかりという「金銀象嵌菊模様壺」が出迎えてくれました。展示室には山川孝次三代の作品がそれぞれ展示されるほか、象嵌の仕組みや歴史、藩政期の馬具の鎧や刀装具なども紹介されています。

山川孝次家は、三代にわたって加賀象嵌をリードした名門です。初代・孝次は文政11年に金沢で生まれ、加賀藩主御用御陣刀大小揃の用命を受けるなど名工として知られますが、その大胆かつ緻密な意匠と細工をじっくりと鑑賞できます。二代・孝次は幼少から父について彫金を学び、明治から昭和初期にかけて金沢金工界の重鎮として活躍。「金銀象嵌諫鼓形置物」などの風格ある作品が並びます。三代・孝次の作品は、東京美術学校彫金科卒業ということもあり、どこか繊細でアカデミックな印象。また、山川家に遺されてきた金工図案・下図なども展示され、こちらも見どころになっています。

展覧会、および資料館の情報は
→ 21世紀鷹峯フォーラム 情報ページ

取材日2017年11月06日