Report

展覧会・イベント、見てある記 #18

「魯山人と初代須田菁華展」

2017年10月28日(土)~2018年2月4日(日) @ 石川県九谷焼美術館 

魯山人の「椿文鉢」、菁華の「呉須馬絵水指」など、師弟の作品が隣り合わせで展示されている。
「私ハ先代菁華に教へられた」の軸は、「金澤美術倶楽部」で講演した際に、魯山人が半紙を連ねて揮毫した演題。
「染付水禽文八角香炉」(初代・須田菁華)石川県立美術館蔵
でき上がったばかりのギラギラ輝く銀彩を批判した人に、「10年後を見ろ」と語った魯山人は、
経年変化による落ち着きや深みまで計算していた。
並んで作陶する菁華(手前)と魯山人(奥)。この写真で魯山人が製作中の星岡茶寮の
火鉢も展示されている。

今年で開館15周年を迎える「石川県九谷焼美術館」と「魯山人寓居跡いろは草庵」では、共催の形で「魯山人と初代須田菁華展」が開催されています。九谷焼美術館では「師弟の絆」、いろは草庵では「大観時代のわざ」と銘打った企画で、師弟関係にある須田菁華(すだせいか)と北大路魯山人の美的世界が鑑賞できます。

魯山人の作陶は、星岡茶寮(ほしがおかさりょう)の前身である美食倶楽部の食器制作が始まりで、そこには山代温泉での初代・須田菁華との出会いが大きく影響しています。昭和30年の講演会の演題も「私ハ先代菁華に教へられた」としたほどで、傍若無人で気性が激しかったといわれる魯山人も、いかに菁華を陶芸の師として尊敬していたかがわかります。

九谷焼美術館では、染付や古典の器の写しを得意とした初代・須田菁華の精緻な作品と、篆刻(てんこく)・書・絵画・漆芸・陶芸家でもあり料理家でもある魯山人の作品が、混在するように展示されています。「今回は茶道具や料理を盛る器などの身近な品が多いので、『この器にはあのお料理を盛り付けてみたい』など、実際の使用シーンを想像しながらご覧になる方も多いようです」と学芸員の本谷さん。第2展示室は繊細な染付と優美な造形が際立つ菁華の作品と、銀彩を施した魯山人の器などが照明や雰囲気を変えて展示されています。

いろは草庵は、九谷焼美術館から車で約15分。魯山人が福田大観と名乗っていた頃の作品とともに、彼の才能を見出した細野燕台(ほそのえんだい)、吉野治郎、須田菁華ら3人の目利きや、山代温泉の旦那衆たちとの関係が、資料や映像を通して紹介されています。篆刻看板を彫っていた作業場や美しい庭も見学できるので、魯山人の愛した地もぜひ併せておすすめです。

展覧会、および資料館の情報は
→ 21世紀鷹峯フォーラム 情報ページ

取材日2017年11月7日