「21世紀鷹峯フォーラム第3回in石川・金沢」前半を振り返って #3
10月6日(金) オープニングトーク @ 石川県立美術館・ホール
10月6日、開幕セレモニーは盛況のうちに終了。その後、場所を石川県立美術館ホールに移し、来賓の谷本正憲 石川県知知事、山野之義 金沢市長をお招きし、オープニングトークが開かれました。
谷本知事は、「オリンピックはスポーツと同時に、文化の祭典でもある。2020年東京オリンピックに向け、フォーラムを、文化プログラム第1号とし、国立近代美術館工芸館の金沢移転、工芸王国・石川の文化ピーアールの総仕上げとして、国際工芸サミットへつなげたい」と挨拶。山野市長は、「石川の工芸の深さを味わってほしい」、また、「東京へ出向き、有力雑誌へ説明に訪れた」というお話からは、市長の強い意気込みが感じられました。
昨年の東京開催において、111機関の連携の中核となり、いくつもの新たな取り組みを実施し成功に導いた、横山勝樹女子美術大学学長・実行委員会(東京)代表は、鈴木大拙が、禅を金沢から世界に広めたことを例に、「工芸を金沢から世界へ発信してほしい」と、石川・金沢開催へエールを送りました。
続くトークセッションの登壇者は、100年後の工芸のために普及啓発実行委員会の方々。
嶋崎丞[石川県立美術館長](会長)
林田英樹[ザ・クリエイション・オブ・ジャパン代表理事](副会長)
前田昌彦[金沢美術工芸大学学長]
山崎達文[金沢学院大学副学長]
川本敦久[金沢卯辰山工芸工房館長]
大樋長左衛門[日展会員/現代工芸美術家協会常務理事/金沢市工芸協会副理事長/陶芸家/大樋美術館館長]
小森邦衞[日本工芸会石川支部/重要無形文化財髹漆保持者]
中田正人[石川県立伝統産業工芸館館長]
浦淳[認定NPO法人趣都金澤理事長]
(敬称略)
嶋崎会長の進行により、本祭典の意義や未来展望、また、見どころや伝えたいことなどについて、各委員が語るなか、重要な課題も明示されました。
中田正人委員は、石川県立伝統産業工芸館では、「身近な工芸品を作り、実際に家で使ってもらうというワークショップ、『子供工芸』を行っている」と、子供たちに伝統工芸を理解してもらうことが、大切な時期にきていることを強調。
浦淳委員は、「21世紀鷹峯フォーラムのもと、今まで個別に行っていた事業が一同に会したことは大きな成果であり、工芸の国際的なマーケットにつなげていく時に大きな意味がある」。マーケットをどのように作っていくか、という課題に言及。
小森邦衞委員は、工芸の継承とともに、材料や道具が消滅しつつある現状を重要な課題に挙げました。これに関して、林田副会長は、京都や東京でも多くの事例が発表されていること、また、11月に「絶滅危惧の素材と道具」と題してシンポジウムを行う。本フォーラムが終了しても、今後も続けていくべき課題と位置付けました。
さまざまな問題を、解決策を考え、具体的にアクションを起こすのが、この21世紀鷹峯フォーラムの目的でもあります。最終日となる11月26日(日)に開催されるメインシンポジウムとなる円卓会議で、意見が交わされ、石川・金沢提言が発表されます。
本祭典の意義や課題を語る委員の方々、写真左から、嶋崎会長、林田副会長、前田委員、山崎委員、川本委員、大樋委員、小森委員、中田委員、浦委員