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展覧会・イベント、見てある記 #04

特別展「BODY / DRESS」

2017年7月15日(土)〜10月22日(日) @ 石川県能登島ガラス美術館

「Ambiguity」広垣彩子
小田橋昌代の作品
「ガラス亡霊婦人」村山留里子
「Duquheapuer」 松宮硝子

美術館の前に広がる風光明媚な景色に目を奪われます。穏やかな群青の海には、時空を超えた神聖なものも感じます。

さて、美術館の金属製の扉を開けて展示室の中に入ると、今度は迷宮のような独創的な空間に驚かされます。まず、目に飛び込んでくるのは、数千の極細ガラス棒が覆う抽象的なオブジェ、「Ambiguity」。作家は、広垣彩子。「国際ガラス展・金沢2016」の大賞受賞作です。ガラス棒を通して見えてくるのは、土台に着色した皮膚のような色。処理しきれない感情や欲望にもやもやと包まれている感覚が伝わってきます。

小田橋昌代の作品は、鋳造ガラスという技法を用いた人物像。ガラスの塊の質感を残した半透明の着衣部分は、肉体存在の曖昧さを感じさせます。目を閉じている女性像をみていると、自然に意識が自分の内面に向かっていくことに気づきます。

そして、次の展示場には、村山留里子の作品「愛のドレス」と「ガラス亡霊夫人」。過剰なまでの装飾は村山作品の特徴です。後者は、作家が住む秋田のガラス作家と話していた時、ガラスのクズがたくさん出ると聞き、それを使うというアイディアがきっかけになったといいます。秋田の銀線細工の作家とのコラボレーション作品です。
板ガラスを割った破片をワイヤーやチェーンで繋ぎ合わせた言上真舟のドレスやガウン、ランジェリーは、美しく煌めくと同時に、もろさや儚さ、皮膚を傷つけるような危険な空気も漂います。

松宮硝子の、架空の生命体の成長過程を表した作品は、小品、大作も含め多数展示されています。ガラスの繊細が、立体レースのようにも、増殖するユーモラスな生物にも見える、不思議な世界観が魅力的です。

「技法の追求というよりは、表現としてのガラスを強調し、作家なりにガラスという素材を広く解釈し表現に用いていることを紹介したかった」と主任学芸員の米田晴子氏は語ってくれました。女性作家の作品から表出する目に見えない感覚や感情、そして、女性特有の身体性に、深く共感した展覧会でした。

展覧会、および資料館の情報は
→ 21世紀鷹峯フォーラム 情報ページ

取材日2017年10月6日